支援の質と説明責任

やしゃごの朝子です。

 

船上研修、第4回目の授業です。今日は、こんな質問から始めました。

 

「あなたの町が、大きな自然災害に襲われました。すると、よそから全く知らない人々が次々にやってきました。彼らは家のドアをノックしては、プライベートなことまで、根掘り葉掘り質問してきます。さぁ、あなたはどう感じますか?」

 

「う~ん、助けに来てくれたのなら、ありがたいと思う」

「けど、その人たちが本当に信頼できるのかわからなければ、いくら支援のためとはいっても不安だなぁ」

 

というわけで、安心と不安、相反する二つの気持ちの間で悩むというのが大方の感想でした。

 

支援を実施する側は、良いことのために行動しているつもりになっています。しかし、無責任な支援は、かえって害をもたらす危険性をはらんでいることは、案外知られていないもの。

 

そこで今日は、「支援の質と説明責任」についての授業です。国際的な人道支援業界では、「Qualilty and Accountability」と言われている概念です。

「支援の質」とは、支援活動の実施にあたり、そのプロジェクトの効果・効率性・妥当性といった面をきちんと検討して、質の高い支援を実施するということ。

 

では、「説明責任」とは何でしょう?

ちなみに、英語で責任は「Responsibility」といいます。「レスポンスをするアビリティ」、つまり、そもそもは問いかけに反応する能力のことを指している言葉なんですね。

 

支援に入る団体は、受け入れ側から見れば、最初はまったくの他人の集団でしかありません。警戒されるのが当然。ですから、「あなたたちは誰?」というごく自然な疑問に対して、最初から答えを明らかにしておくのが望ましいのです。

 

自分たちがどんな団体で、何をしに、何のために活動しているのか、いつまで活動する予定なのか、といったことを、寄付者に対してのみならず、支援を受ける人々に対しても明確に説明する責任。それが、ここでいう「説明責任」です。

 

ところで、支援団体が活動を開始するにあたって、大切なことがあります。

 

「プロジェクトの成功はどう測る?」

 

「プロジェクトの終了はどう計画する?」

 

「プロジェクトを終了するにあたって、まだ地域の課題が未解決だった場合、地域の人々に対してどうすればいい?」

 

プロジェクトを開始する時の勢いのある流れの中で、終わりをどうするかという視点は忘れがち。また、「やってみないとわからない」という側面もあるかもしれません。

 

もちろん、状況が変われば、途中で計画の見直しをすることがあっても構いません。ただ、終了時を見据えた出口戦略は、できる限りプロジェクトの計画段階から持ちたい視点です。なぜなら、行き当たりばったりな形で撤退することは、いったんコミットした相手先に対して、かえって迷惑をもたらすことにもなりかねないからです。

 

そこで青年たちにも、健全なプロジェクト運営を行うにあたって、どう上記のポイントについて考えるか話し合ってもらいました。

プロジェクトの成功をどう測るか?という質問に対しては、

 

「最初から、プロジェクトの目的に対して、何を達成したら成功かという指標を作成しておくのがいいんじゃないかな」

「継続的に、効果を測定し続けるのもいいよね」

「利害関係者にインタビューして、評価を聞くのも必要じゃないかな」

 

等という意見がでました。

いつプロジェクトを終了するべき?という質問に対しては、

 

「地域の中心的な人々にも、プロジェクトの一連の流れに何らかの形で参加してもらい、彼らからフィードバックをもらいながら検討するのが必要だと思う」

 

との意見。

プロジェクト終了時に残された課題がある場合に、地域の関係者に対してどうすればいい?という質問については、

 

「そもそも、包括的で、長期的な視点を持って事業計画を立てるべき」

「その地域の人々が自主的・自律的に運営していけるように、地元のコミュニティを育てること」

「その地域の人々が長期的・継続的に活用できるような、人材や専門家集団とのつながりを構築しておくこと」

 

という意見がでました。

 

ちなみに、私自身、組織運営をしていて思わぬ障害に悩まされた経験がいくつかあります。

例えば、プロジェクト期間と会計年度の区切りが一致しない場合。特に、他団体から助成金をいただいていると、その団体の会計年度内に会計を〆て報告書を提出しなければならないことがあります。また、余ったお金を翌年度に持ち越せればいいのですが、助成金の条件によっては年度内に事業を終了させなければならない場合もあります。課題が継続していたとしても、資金繰りができなければ、事業を継続することはできません。

 

事業を運営できる人材の確保も大きな課題です。人材の採用や雇用は、組織にとって手間も経費もかなりの負担ですが、小さな組織にとってはなおさらです。事業費は確保できても人件費の確保が難しかったり、タイミングよく適切な人材が確保できなかったり、となると、実際の事業の運営もままなりません。

 

組織運営には多くの知識やスキルが必要となります。企画書の書き方、プレゼンの仕方、経理の知識、情報発信の技術、などなど。どれも学習や訓練によって習得できるものですが、そういったトレーニングの機会そのものを当事者たちに提供し、コミュニティの基礎体力を時間をかけて育んでいくことも大切です。